平成30年度バラの達人養成講座第1回が行われました。

バラの達人養成講座第1回が行われました。
当初予定していました7月29日は、台風接近で警報が発令されていたため、一週間延期させていただきました。

1 日 時:平成30年8月5日(日)10:00ー12:00
2 場 所:兵庫県立播磨中央公園サービスセンター及びバラ園(現地)
3 参集者:ひょうごローズクラブ会員25名、一般参加2名
4 講 師:ひょうごローズクラブ副理事長 (有)確実園本園  前野 義博 氏
5 内 容:
 【講義】
  <この季節の注意点>
   ・この夏の猛暑は、バラにとっても大変な状況で、水やりが重要。ただし、葉水はだめ。かえ
    って植物は迷惑。水やりはしっかりやることで新しい水が鉢内に入り、酸素補給にもなる。
   ・鉢栽培では、土の乾き方をよく観察すること。土が乾かないなら、根に何か不具合がある。
    中耕して土を軟らかくするとよい。
   ・地植えしていると安心してはだめ。


テキスト『フラワーデザイナー花ファッション 2018春夏vol.12 』に沿って講義が行われました。

   <バラを栽培するだけでなく、美しく飾ったり利用する方法を紹介>
    ・バラの水揚げ方法として、花首までしっかり付けること。
    ・とげが一番多い品種は、'ムスー・デ・ヤポン'(モス・ローズ)
    ・バラジャムに向く品種(一季咲きでほったらかしで栽培できる)
       'ジプシーボーイ'、'ガートルード・ジェキル'、
       'スープニールドゥドクトルジャメイン'
    ・栽培初心者に向く強健な品種とは
       'ニューサ'(四季咲き 多花)
       'カザンリク'(一季咲き、香りよい、多花、強健)
       'ダフネ'(四季咲き 花持ち良い)


  テキストの中の前野さん執筆の記事「バラのたどった道」を使って、バラの歴史やこれからの
  課題について説明を受けました。

   <バラの誕生>
    約7千万年前、ヒマラヤ山系で誕生。バラの原種は変異が多く交雑しやすいため 行く先々
    の環境に適して進化し、各所で自生種を定着させていき、多様な世界を生み出していった。
    バラの原種は100から200種あり、日本には10数種の自生原種がある。
    バラの四季咲き性は東洋のバラの原種からもたらされた。

   <バラと香り>
    バラは香りの女王。(王様はジャスミン)バラの香料はジャスミンほど高くないが、その
    香気には強い鎮静効果があり、現代バラのほとんどに受け継がれている。、スキンケア効果
    も確認されていて、香料や薬用としてのバラ栽培は紀元前の古代ギリシャ時代から盛んにお
    こなわれていた。

   <バラとキリスト教>
    純粋で禁欲的なキリスト教徒にとって、バラは贅沢と淫欲のシンボルだったが、修道院では
    薬用として植えられていた。11世紀にはイスラム世界から新たなバラ、バラ文化がもたら
    され、バラが大流行し、白バラがマリアの純潔の象徴となるなど、キリスト教と結びつい
    ていった。キリスト教で使われる「ロザリオ」とは、「バラの輪」の意味。

   <フランスとバラ>
    フランスでは、18世紀、宮廷でも盛んにバラ園を造営し、また肖像画にも描かれている。
    ジョセフィーヌは名前の中にローズとあるほどバラ好きで、宮廷内にバラ園を作り、国内外の
    バラの自生原種を集め、その後の新たなバラの基点となった。いわばバラびパトロン的な
    存在。

   <切り花品種'ソニア'の登場>
    1970年フランス「メイヤン」により発表された品種'ソニア'は、フロリバンダローズ
    (中輪、四季咲き、房咲き)で、やや小ぶりだが花立ちが多く、サーモンピンクのカラ
    ーは他の花に合い、グリーンに映え一大ブームとなり、その後の切り花用種にはほとん
    どフロリバンダの血が入ることになった。

   <イングリッシュローズの登場>(デビット・オースチンが育成)
    デビット・オースチンが作出したイングリッシュローズは、四季咲きのままオールドロ
    ーズの雰囲気と上質な香りで20世紀から21世紀にかけて世界を席巻し、この成功以降、
    世界のバラは香りを大切にしつつ多様化が進んでいる。日本のバラもどのように変化し
    ていくか楽しみである。

   <世界が注目する日本のバラ>
    ・バラ育種家の河合伸志さんが横浜イングリッシュガーデンで展示するバラと他の花
     とのコラボ
    ・バラ育種家の木村卓功さんが作出した品種'シエラザード'が、丈夫で、日本の夏
     でもよく咲き、ヨーロッパでも注目されている。

   <最後に>
    これからの花は丈夫でなければだめ。
    ドイツの種苗会社コルデスのこれからの育成品種に注目。
    ドイツで農薬が使えなくなる。(ミツバチが影響を受けるため。)・・・丈夫でしっかり咲く花の
    育種が重要。

 【質問】
   ・ハダニの被害対策 ⇒ ハダニの殺虫剤を使ってください。
               ハダニは水に弱いので、予防策として普段から水で洗い流すことを
               お勧めします。

   ・オンシツコナジラミ対策 ⇔ お酢を使って退治してください。
  
    ※病害虫対策の際は、天敵をうまく生かし、むやみに殺虫剤は散布しないことを心がけて
     ください。

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