奥深いバラの世界 5

温暖な淡路島で切り花用バラを栽培する33才の若手の生産者、「あわじ岡松ローズ」の岡松計仁さんを訪問してお話をうかがいました。
「あわじ岡松ローズ」の温室は、淡路市の大阪湾に面した斜面地の温室団地の中にあり、周囲の温室ではカーネーションが栽培されていて、訪問にした4月下旬には母の日に向けた大量のカーネーションが栽培されていました。

【プロフィール】
岡松 計仁 (おかまつ かずひと)
1975年、東浦町(現、淡路市)生まれ。
学校卒業後2年間大阪で会社勤めの後、2001年に帰郷。
父の経営するバラ園でバラ栽培に取り組み始める。
2005年「あわじ岡松ローズ」として独立。


バラ栽培に取り組んだきっかけは?


9年前に会社勤めを辞めて、父の経営していたバラ栽培に取り組むようになりました。父からこれと言って教えてもらうこともなく、まさに見よう見まねでバラの栽培を覚えました。
4年前からは、父と経営を分けて独立して生産しています。ちなみに父は、徳島県に新しい農場を確保して5千坪(約16,500平米)でバラ生産をしています。



現在の経営規模はどれくらいですか。


400坪の温室3棟計1,200坪(約3,960平米)の規模で、夫婦と3人を常時雇用して栽培しています。栽培品種は、約20品種で、色別では、赤が1割くらいで、ピンクや白、オレンジ、黄色など様々な色彩のバラを生産しています。


独特の仕立て方をしていますが何という栽培方法ですか。


これは、レベリング法と言って、枝を水平にねじ曲げて切り花本数を多くすると共に、良品質の切り花を安定して生産できる栽培方法です。


出荷先はどちらですか。


出荷は、大阪の鶴見にある'なにわ花いちば'にほぼ全量出荷しています。年中出荷していますが、3月が最も多く次いで9月が多くなっています。最近は、競りで販売するよりも、予約相対での注文の割合が高くなっています。


バラの生産者として注意していることは何ですか。


キクやカーネーションなどと比べ日持ちが短いので、水揚げの良い日持ちのするバラ作りをめざしています。また、梅雨時など多湿の時にはボトリチス病で輸送中に花が傷むことがあるので、病害虫の管理にも特に注意して栽培しています。


あわじ岡松ローズのセールスポイントは何ですか。


ブライダル用のブーケに使われる'もこもこローズ'というのを生産しています。通常よりも切り花の時期を遅らせ、花弁が発達して花が大きくなってから切るタイプです。そのために、ボリューム感のあるもこもこっとした感じの切り花です。ピンクや白にグリーンがかったものを生産しています。



今後の目標は。


競りで売るよりも価格の良い市場からの注文で出荷できるようにオリジナルの品種や商品を主体にしていきたいと考えています。そのために育種もしており既に切り花として2品種出荷しています。今後は赤でフリルのあるバラが出来ないかと育種に取り組んでいます。