1 日 時: 令和元年11月24日(日)10:00-12:00
2 場 所: 兵庫県立播磨中央公園サービスセンター及び四季のばら園(現地)
3 講 師: 前野 義博 氏(ひょうごローズクラブ副理事長)
4 内 容:
はじめに 植物はどこで冬を感じるか?
植物は、日照時間の長さで冬の到来を知る。冬が近づくと離層が作られ、
葉が落ちる。自然に任せ、無理に葉を落とさないことが大切。
【バラの植えつけ方の基本】
<植え付け時期(兵庫県)>
適期は12月から1月頃
バラ苗はー15℃にも耐えるので、この辺りでは冬でも気にせずに植え付けできる。
(寒冷地では4月以降に植え付ける。)
<地植えの植え付け手順>
1.穴を掘る
直径、深さとも50cmくらい掘れば理想
2.土を作る
土の配合は、庭土:乾燥牛糞:完熟腐葉土=6:2:2くらいが肥料あたり
しなくてよい。
穴底へ乾燥牛糞、完熟腐葉土を少量投入、底土とよくなじませる。この時
元肥を入れる。
そのあと、掘り上げた土に新しい土(赤玉など)と乾燥牛糞、完熟腐葉土を
混ぜながら穴に埋め戻していく。
※未発酵のもみ殻、麦わらは入れない。バラの根の傍で発酵するとその熱で
バラが枯れることがあるため。
3.植え付ける
植え付け面が地面より少し高くなるように、また周りを土で盛り上げて水鉢
になるように仕上げる。
接ぎ木苗の場合は、しっかり接合していれば、接ぎ木テープを外す。
冬場は地上部を切り詰めているので、土を落とすこと。夏場は苗の根鉢を
崩さないこと。
4.水を与える
地面より少し高くなるように苗を置き、八分目くらいまで土を戻したら、
バケツに一杯(15リットル)の水を与える。植えてすぐ水やりすることが大切。
しっかり水圧をかけることで根鉢と植え穴の土との馴染みが良くなるので、
バケツまたはホースから直接潅水する。
植え付け後の潅水では、夏場は毎日、冬場は3日くらい空ける。
<鉢植えの場合>
植え付け時、しっかり固めに植えること。
フワフワの土だと多湿になりやすく、根の張りが悪くなる。
土の配合:赤玉中粒:乾燥牛糞:完熟腐葉土=7:1.5:1.5
【肥料について】
元肥と表記されているもの(ドレスコード、マグアンプKなど)は土に
入れてもよいが、有機化成(窒素、リン酸、カリ分配合)などは、置き
肥えが安心。
油粕や骨粉は、虫が発生しやすいので、止めておいたほうが良い。
牛糞や腐葉土は土壌改良材で肥料分は少ないので、配合肥料を併用するとよい。
春先の施肥時期としては、花が満開を過ぎた頃または花を切り戻した時がよい。
(肥料をやると、根を傷めるから)
【潅水について】
バラは水を好む。夏場の乾燥はバラに大きな負担をかけるので、積極的な潅水が
必要。ホースなどでたっぷりやる。
鉢植えでは、潅水は表面ばかりでなく、しっかり鉢底に水は当たるように注意。
【台芽について】
接ぎ木苗では台芽が発生してしまうこともある。放置したら、品種が台木に負ける。
台芽が出たら、つけ根からかき取ること。
接ぎ口より下の芽は台木(野ばら)の芽と考える。
<バラの管理方法について実演で学ぶ>
【ツルバラ苗の剪定について】
ツルバラは、強い剪定でよい花が得られるわけではない。
無剪定でもよい花が見られる品種もある。
【ツルバラを誘引する場合の注意点】
芽を傷つけないように大切に扱うこと。
完全に枯死している部分を取り除く。葉は自然に落ちるのを待つ。
各枝の頂上部をごく軽く(2-5cm)剪定する。
側枝の処理を行う。(原種バラの場合は、壁面誘引する場合を除いて不要。)
母枝から横に出てくる短い枝(側枝)は2-3芽残して切る。
誘引方法として、水平にすると芽が多く出て花も多く咲く。垂直にすると先端に
のみ花がつく習性がある。水平より下にすると生育は止まる。
サイドシュート(途中から太い枝が出る)は先端を軽く剪定して母枝の更新用
とする。
<ツルバラの誘引の仕方について学ぶ>
【よくある質問】
Q:古い枝は株元から切り取った方がよいか?
A:完全に枯死しているなら切り取るが、無理に切らなくて良い。
Q:側枝とサイドシュートの区別は?
A:母枝と同じような太さがあり、30cm以上のびるようならサイドシュートと
見なす。剪定結果などを十分観察して次年度の誘引剪定の参考にする。
Q:暖冬の影響でまだまだ葉が青々している。
A:葉はそのままでよい。
Q:日陰に強いツルバラはないか?
A:本来日照が大好きな植物。しかし一季咲ツルバラ品種(ランブラーローズ、
シュラブローズ)ならほぼ大丈夫。具体的には、'ツルサマースノー'、
'ツルアイスバーグ'、'ポールアルフ'、'イスパハン'、'ラベンダーラッシー、'
'ブルーランブラー'など。
比較的条件のよいところで大きく育ててから植え付けるとよい。
Q:ツルバラが大きくなって手に負えなくなってきたが、思い切って切った
ほうがよいか?
A:一番花が終わった6-7月に思い切って強剪定して草丈を低くすることも大切。
その時に土壌改良、中耕などすることで、新しい根が出る。
Q:鉢栽培で根詰まりが心配。
A:毎年鉢替えした方がよい。古い土を払って新しい土にしてポットの大きさは
そのままでよい。樹の下方部分からの方が良い芽がでる。
水・肥料のやりすぎがよくみられるが、根詰まりの原因になるので、注意する。
植物をある程度厳しい環境下に置くことも重要。
次回は1月26日(日)午前10時から12時です。
今年度の最終回です。バラ苗をお渡ししますので、受講者は必ずご出席ください。
|