平成30年度「バラの達人養成講座」第4回が開催されました。

1 日 時: 平成30年11月25日(日)10:00―12:00
2 場 所: 兵庫県立播磨中央公園サービスセンター及び四季のばら園(現地)
3 講 師: 前野 義博 氏(ひょうごローズクラブ副理事長・(有)確実園本園)
<講義内容>
バラの香りの種類
バラの香りは以下の8グループに分けることができる。それぞれの香りの割合は品種毎に異なり、それぞれ独自の香りを放っている。

DC:ダマスク・クラシック  華やかで強い甘さを持つ香り。
   古典的なバラらしい香りの代表的なもの。
   主要品種:'芳純'、'プリンセス・ドゥ・モナコ'、'セシル・ブルナー'等

DM:ダマスク・モダン    情熱的で濃厚な甘さを持つ香り。
   DCを受け継いでいるが、成分バランスは異なり、華やかな甘みの中にすっきりとした清涼感
   がある。
   主要品種:'パパ・メイアン'、クリムソン・グローリー'、'レディ・ラック'等

T :ティー         上品で優雅な印象の香り。
   中国由来の'ロサ・ギガンティア'やチャイナ系の香りの特徴成分。
   紅茶の香りを感じさせる,ソフトで親しみやすい香り。
   主要品種:'ディオラマ'、'ロイヤル・ハイネス'、'春芳'、'天津乙女'等

F :フルーティ       さわやかで若々しい印象の香り。
   ダマスク系の成分とそのエステル化合物を多く有する。
   ピーチやアプリコット、アップルなどフルーツの香りを想起させる。
   若くはじけるような愛らしさ。
   主要品種:'ダブル・ディライト'、'ホワイト・クリスマス'、'マリア・カラス'、'楽園'等

B :ブルー         女性らしい芳醇な甘さを持つ香り。
   青系のバラに類似する香り。DMとTの香りが混在し、独特な甘い透明感のある上品な香り。
   主要品種:'ブルー・ムーン'、'シャルル・ドゥ・ゴール'、'ブルー・リボン'
   
S :スパイシー       控え目で成熟した甘さを持つ香り。
   DCを基調に、香辛料のグローブ(丁字)のような香りが強く感じられる。
   主要品種:'デンティ・ベス'、'ハマナシ'など

M :ミルラ(アニス)    大人っぽく落ち着いた印象の香り。(香料としては高級。)
   ハーブの一種アニス(セリ科)に似た香り。ほろ苦く、青臭さを強めたような香り。
   主要品種:'セント・セシリア'、'セブンスター・アイドル'、'タモラ'等

Bul:ブルガリアン・ローズ コクのある中にすっきりとした甘さを持つ香り。
 
香りのエピソード
   ・ダマスクとジャスミンを組み合せた香水がシャネルNo7
    ・Tの香りは、周囲の者(女性)が美しく生き生きと見える
   ・秋は空気が乾燥しているので、香りを強く感じる。
   ・現代バラにはティーローズの香りが入っている。

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バラの香りについての説明を聞く

バラの花壇の作業
  11月 咲くがままに放置。
     この頃のバラは夏の手入れの結果。小さい花なら反省を・・・。
     水はけについて→乾いて当たり前。水はけが悪いのはおかしい。
  12月 つるバラ誘引 葉を総て落とす。細枝も残す。邪魔になる枝除去。
     四季咲きは上から1/3程切り戻す。土に光を当てる。
     マルチを取る。
  1月  鉢植え時には、鉢替え、剪定もする。ガーデンは新植、植え替え、土壌改良。
  2月  剪定時期:HT、F四季咲種、イングリッシュローズ、シュラブローズ(ツルとして使わ
          ない)
     土作り: しっかり耕す。堆肥などすき込む。
     元肥: 有機肥料 N-P-K 5-5-5程度のもの500g/1株目安
         鉢植えはぼかし肥料など。(生はだめ。)
  3月  薬剤散布: 新葉が展開した下旬頃から。はじめはダイセンという殺菌剤を使う。
     マルチングを始める。

   4月  施肥: 化成肥料と有機混合をパラパラとばらまく。1回/1月
      鉢の肥料は有機ダンゴなどを鉢の縁に埋める。


   5月  薬剤散布: 上旬からバラゾウムシの防除。
     切り戻し:、花が終わったら1/3程度切ること。

  6月 施肥: 化成肥料をパラパラとばらまく。
     つるバラの手入れ→花枝の切り戻し、古枝や細枝の除去。株まわりの土壌改良、
     有機質肥料散布。

  7月  施肥: 化成肥料をパラパラとばらまく。

  8月  薬剤散布: 気温25℃以上では殺菌剤を撒かない。

   9月  切り戻し: 花枝 薬剤散布: 丁寧に。      

   10月  施肥: 年内最終 薬剤散布: 月末まで。

―これで1年―

HP用ツルバラの誘引実演風景.jpg
ツルバラの誘引実演風景

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秋の剪定後の様子を確認

質 問
1.化成肥料の施肥方法・・・薄め少なめにすること。濃いと根を傷めるから。
2.施肥の利かし方・・・夏肥料が流亡するから化成で補う。9月からは有機肥料をやること。
根元に肥料は撒かない。パラパラと撒くこと。

3.薬剤について・・・オルトラン水和剤は2?3日連続でやってよい。
           オルトラン粒剤は根を傷める。

4.堆肥と腐葉土の違い・・・堆肥は発酵させている。腐葉土は葉を積み重ねているが、全て発酵し
              ているとはいえない。
  生葉は発酵の時に障害が出る。
  物理的に繊維分がある方が良い。・・・ヤシガラ(ココピート)はピートモスより長持ちする。
  いずれも量は土の3割までにすること。

まとめ1:冬場の防除: 手に入れば石灰硫黄合剤、マシン油乳剤などをタップリ散布する。

まとめ2:土壌改良のタイミングは剪定をした時。深く土を耕すこと。根を切るが、問題なし。 
     穴を掘る場合も堀ったその土に堆肥や腐葉土など混ぜて埋め戻すことで 土が若返る。
     →新しい根が出る。

次回第5回(最終回は1月27日(日)10:00-12:00です。

修了証とプレゼントのバラの大苗をお渡ししますので、できる限りご出席ください。