バラの達人養成講座第3回が開催されました。

1 日 時: 令和元年10月13日(日)10:00-12:00
2 場 所: 兵庫県立播磨中央公園サービスセンター及び四季のばら園(現地)
3 講 師: 前野 義博 氏(ひょうごローズクラブ副理事長)
4 テーマ: バラの香りと殿堂入りの名花
5 内 容:
【昭和に実施されたバラの香り分析と7つの分類】
  1980年頃から約20年間にわたり、「ミスターローズ」こと故鈴木省三氏(京成バラ園芸)の
  指導の下、当時の資生堂リサーチセンター香料開発室で1000種以上のバラの香りの化学分析
  が行われ、そこで世界で初めてバラの香りが7つのタイプに分類された。

  香りの強い、弱いは品種によって様々。春と秋での感じ方が違う。
  秋、午前10時まで、花弁が中開きの時が本来の香りである。
  <7つの分類>
  (1)ダマスク・クラシック・・強い甘さと華やかさをもっている。
  (2)ダマスク・モダン・・・ 代表品種:'パパメイアン' 
                 ダマスク・クラシックの香りを受け継ぎながら成分バランスが
                 ことなっていて、情熱的で洗練された香り。
  (3)フルーテイ・・・    代表品種:'ドゥプトボルゲ' 
                 ピーチ、アプリコット、アップルなど新鮮な果実の香りでダマ
                 スク系とティー系の特徴成分を含有。
  (4)スパイシー・・・    代表品種:'ディンティーバス' 
                 ダマスク・クラシックが基調だが、丁字(クローブ)様の香り
                 がやや強く感じる。
  (5)ティーの香り・・・   代表品種:'レディヒリンドン' 
                 中国原生種ギガンティアやキネンシス系の香り成分。グリー
                 ン・バイオレットの香りで上品で優雅な印象。
  (6)ブルーの香り・・・   代表品種:'ブルームーン' 
                 ダマスクモダンとティーの混在。青いバラ系の品種はほとん
                 どこの香り。
  (7)ミルラの香り・・・   代表品種:'アンブリッジローズ' 
                 ハーブのアニスに似た香り。高価な香り。
                 多くのイングリッシュローズの香りにこの特徴がある。
 
【殿堂入りのバラ】
  殿堂入りのバラは、世界バラ会連合会(本部:英国 ロンドン)開催の世界バラ会議で決定。
  世界41か国が加盟し、3年に一度開催される。2006年に大阪で開催。
  <選出条件> 世界中で愛されていること。丈夫で栽培歴が10年以上あること。
         参加国からの推薦を5から10品種ずつ受け、それを上位3品種に絞り、さらに
         投票で決定する。

 〇1976年 初代受賞 'ピース'フランス(メイアン)黄色大輪
 〇1979年 'クイーン・エリザベス'アメリカ(ウオルター・ラマーツ)超強健大輪ピンク
 〇1981年 'フレグラント・クラウド'ドイツ(タンタウ)花持ちよくウドンコ病に強い朱赤、
       強い香りが魅力的
 〇1983年 'アイスバーグ'ドイツ(コルデス)中輪、半八重の純白房咲きれいな照葉
 〇1985年 'ダブル・デライト'アメリカ(スイム&エリス)香りの名花クリームに赤の覆輪咲
       強健種。
 〇1988年 'パパ・メイアン'フランス(メイアン)黒バラの代表、ダマスクの香りが強く濃厚
       で忘れがたい。
 〇1991年 'パスカリ'ベルギー(レンズ)純白、微香があり切り花として評価が高い。
 〇1994年 'ジャスト・ジョーイ'イギリス(カント)アプリコット色花弁はフリルの様

 〇1997年 'ニュー・ドーン'アメリカ(サマーセット)柔らかいピンク、初めてつるバラ
       で選ばれた。
 〇2000年 'イングリット・バーグマン'デンマーク(ポールセン)濃く気高い赤色の半剣弁
        高芯咲き
 〇2003年 'ボニカ'82'フランス(メイアン)桜色の中輪よりやや小さめの花が咲くラウン
       ドスケープローズ
 〇2006年 'エリナ'イギリス(パトリック・ディクソン)耐寒、対暑性強く耐病性もある
       超強健種 クリームイエローだがこの辺で栽培するとほとんど白。
 〇2006年 'ピエール・ド・ロンサール'フランス(メイアン)日本で人気の品種でエレナ
      と同じ年に選ばれた。
 〇2009年 'グラハム・トーマス'イギリス(デビット・オースチン)イングリッシュロー
      ズの中でも最もよく知られている。中輪カップ咲黄色の花強い香り。
 〇2012年 'サリー・ホームズ'四季咲きつるバラ
 〇2015年 'カクテル'フランス(メイアン)
 〇2018年 'ノック・アウト'病気、虫に大変強い 花はやや不細工・・・

【主なバラ育種会社】〇メイアン(フランス)
            世界一のバラ育種会社。2年間ガラス温室で栽培し選抜したものを、
            ハウスの天井を移動させてそのまま露地栽培で耐病性を見ていく。
            育種用の設備が充実している。
          〇コルデス(ドイツ)
            丈夫な品種の育種で注目。
          〇デビット・オースチン(イギリス)
            苗木はヨーロッパ台木なので、日本の夏は暑くて休眠する性質。
            台木が休眠しているのに水やりをすると枯れる。十分注意する。

【受講者の質問(Q)と先生(A)の回答】
  Q デルバール社の品種は香りがよいのだが、花弁は弱い。どのように栽培したらよいか?
  A 岐阜県に支社があるので、台木は日本のものを使っている。ただし最近の品種が弱い
    のであれば少し古い品種を育てるというのも選択肢。

  Q 台木が弱いなら挿し木をしてはどうか?
  A 芽接ぎや自根を出させて台木の弱点を補うのがよい。

 この後秋バラが咲くバラ園に移動し、夏剪定の結果の確認や台風被害あとの様子を実物を見
 て学んだ。


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 次回(第4回)は、11月24日(日)午前10時ー12時 です。